- フィリピンのゴミ山で暮らす子供たちを訪れて
- ① スモーキーマウンテンとは
- ② スモーキーマウンテンができた背景
- ③ スカベンジャーとは
- ④ ゴミ山で働く子供たち
- ⑤ 注射器を踏んで亡くなる子供たち
- ⑥ ゴミの雪崩による事故
- ⑦ ボランティアの学校と心優しい子供たち
- 子供たちが明るい理由は?
- まとめ
フィリピンのゴミ山で暮らす子供たちを訪れて
前にフィリピンのマニラにあるスモーキーマウンテンを訪れました。
そこには、日々ゴミとともに生きる子供たちがいます。
彼らの生活を目の当たりにし、深い衝撃を受けると同時に、彼らの優しさや明るさに心を動かされました。
① スモーキーマウンテンとは
マニラにあった巨大なゴミ捨て場
スモーキーマウンテンは、フィリピンの首都マニラにかつて存在した巨大なゴミ捨て場です。
ここはかつて数万人もの人々が生活の場としていた場所でした。
ゴミが積み重なり、内部で自然発火が起きるため、常に煙が立ち上っていたことから「スモーキーマウンテン(煙る山)」と呼ばれていました。
現在、スモーキーマウンテン自体は閉鎖されましたが、同様のゴミ山がいくつも存在し、そこでは今も多くの人々が生活を営んでいます。
② スモーキーマウンテンができた背景
ゴミを拾い集めて生計を立てる
フィリピンでは、経済格差が非常に大きく、貧困層の人々は十分な教育や仕事の機会を得ることができません。
その結果、多くの人々が都市部のゴミ捨て場に住み着き、ゴミを拾い集めて生計を立てる「スカベンジャー」として生きる道を選ばざるを得ない状況にあります。
都市の発展に伴い、ゴミの量は増え続け、人々はそのゴミの中からリサイクル可能なものを探し出して売ることで、わずかな収入を得ています。
こうした状況は何十年も続いており、今もなお、多くの人々がゴミ山での生活を余儀なくされています。
③ スカベンジャーとは
スモーキーマウンテンで暮らす子供たちの親のほとんどは「スカベンジャー」です。
スカベンジャーとは、ゴミを拾い集めて生活している人々のことを指します。
彼らの仕事は、都市のゴミ捨て場でプラスチック、金属、紙などのリサイクル可能な廃棄物を探し、それを業者に売ることです。
大人だけでなく、子供たちもその仕事を手伝いながら生活しています。
④ ゴミ山で働く子供たち
ゴミ山に住む子供たちも、幼い頃から家族の手伝いをしながら働いています。
彼らの仕事
- ゴミの回収
- 分別作業(プラスチック、金属、紙など)
- ゴミを袋に詰め、買取業者に売る準備をする
子供たちは素手でゴミを拾い、裸足でゴミの山を歩いていました。
時にはシャベルを使いますが、ほとんどの場合、手でゴミを掘り返して選別しています。
スカベンジャーたちは、週に一度やってくるゴミの買い取り業者にゴミを売ることで、わずかな収入を得ています。
しかし、買い取り価格は非常に安く、一日働いても数百円ほどしか稼げません。
⑤ 注射器を踏んで亡くなる子供たち
地元の人の話
ゴミ山には家庭ごみだけでなく、病院などから出る医療廃棄物も混ざっています。
子供たちは裸足でゴミの上を歩くため、危険なものを踏んでしまうことも少なくありません。
私が訪れた際、地元の人から「以前、注射器を踏んで感染症にかかり、命を落とした子供がいる」と聞きました。
医療廃棄物には使用済みの注射針が含まれており、それが原因で病気にかかるケースもあります。
⑥ ゴミの雪崩による事故
ゴミ山はときに危険な事故を引き起こします。
大量のゴミが積み重なって不安定になり、突然崩れ落ちることがあるのです。
過去には、大雨の影響でゴミの雪崩が発生し、多くの子供や大人がゴミに埋もれて命を落としたこともありました。
彼らにとっては、毎日が命がけの生活なのです。
⑦ ボランティアの学校と心優しい子供たち
ボランティアによる学校運営
そんな厳しい環境の中でも、スモーキーマウンテンにはボランティアによる学校が存在します。
無料で教育を受けられる場を提供し、子供たちに読み書きを教える活動が行われています。
学校では、最低限の教育を提供するだけでなく、子供たちに夢を持たせるための授業も行われています。
例えば、絵を描く時間や歌を歌う時間があり、子供たちは目を輝かせながら参加していました。
明るくて優しい子供たち
私が訪れたとき、そこにいた子供たちはとても元気でした。
彼らは、厳しい環境の中にいながらも笑顔を絶やさず、明るいエネルギーに満ちていました。
イヤリングをくれた女の子
ある女の子は両耳に小さなイヤリングをつけていて、私を見つめた後、片方を外し、「プレゼント!!」と言って私の手のひらにそっと置いてくれました。
彼女にとって、このイヤリングはきっと特別なものだったのではないでしょうか。
ゴミ山の中で見つけたとき、とても嬉しかったかもしれません。
にもかかわらず、その貴重な片方を私にくれたのです。
その優しさに、思わず胸が熱くなりました。
ジュースをくれた男の子
また、別の子供は飲み物を配られた際、自分が飲んでいたジュースを「一緒に飲む?」と差し出してくれました。
配られるジュースは、きっと毎日飲めるものではないでしょう。
それでも、その子は迷うことなく、自分の飲み物を差し出してくれました。
その手つきはあまりにも自然でした。
飲み物を分け合うことが、彼らにとっては当たり前のことなのかもしれません。
自分の持つわずかなものを、誰かと分かち合う。
その優しさに、私は心を打たれました。
子供たちが明るい理由は?
フィリピンのゴミ山で暮らす子供たちは、とても明るかったです。
目がキラキラしていて輝いていました。
「なんでだろう?」と思い、いくつか考えてみました。
答えはありませんが、もしかしたら、「人と人とのつながりが強い」ことがあるかもしれません。
家族や仲間と常に支え合いながら生きていることで、助け合うことが当たり前になっている環境に見えたからです。
また、小さな喜びを大切にすることで、日々の生活の中に楽しみを見出しているのではないでしょうか。
私たちが訪れたとき、それはそれは嬉しそうに、出迎えてくれました。
- 人とのつながりが強い: 家族や仲間と支え合いながら生活しており、助け合うことが当たり前になっている
- 小さな喜びを大切にしている: 日常の些細な出来事やボランティアの訪問を心から楽しんでいる
まとめ
スモーキーマウンテンの子供たちは、想像を絶する環境の中で生きています。
しかし、彼らの心は豊かで、人とのつながりを大切にしています。
この訪問を通して、私たちができる支援を考えていくことの大切さを実感しました。
彼らの未来のために、少しでも多くの人がこの現実を知って頂けたらと思っています。