はなしのブログ

海外大学院卒 & 渡航歴約20カ国。育児とキャリアの備忘録

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』要約とレビュー

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』要約とレビュー

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』要約とレビュー

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』要約とレビュー

三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』をレビューします。

社会人になると、「本を読む時間がない」と感じたことはありませんか?

仕事が忙しく、家に帰れば疲れてしまい、気づけばスマホやテレビを眺めて1日が終わる……。

読書習慣があったはずなのに、いつの間にか遠ざかってしまった—そんな経験を持つ方に、ぜひおすすめしたいのが本書です。

 

本書は、「なぜ現代の働く人々は読書の時間を確保できなくなっているのか?」という疑問を出発点に、

読書と労働の歴史的な関係を紐解きながら、

現代社会の問題点を浮き彫りにしていきます。

さらに、読書の時間を取り戻すための具体的なヒントも満載。

忙しい毎日を送る社会人にとって、働き方や生活の在り方を見直すきっかけとなる一冊です。

 

 

 

 

「本を読む時間がない」のは現代社会の構造的な問題?

1-1. 「読書ができないのは、個人の怠慢」ではない

忙しくなると「自分が時間の使い方が下手だから」「怠けているから」と考えてしまいがちですが、

著者は「読書時間の消失」は個人の問題ではなく、社会全体の構造的な問題だと指摘します。

本を読むには「時間」と「心の余裕」が必要です。

しかし、現代の働き方は長時間労働が当たり前になり、仕事以外の時間を確保すること自体が難しくなっています。

 

さらに、スマホやSNSの普及により、短い情報を効率よく摂取する習慣が身についてしまい、じっくりと本を読む集中力が失われているのです。

労働と教養の関係性:かつては「読書=出世の鍵」だった?

2-1. 明治から昭和の「読書と成功」の関係

かつて、日本社会では「教養」が成功の鍵と考えられていました。

特に明治時代以降、立身出世のためには学問が不可欠であり、多くの人が読書を通じて知識を得ようとしていました。

 

例えば、かつてのエリート官僚や実業家の多くは、大量の本を読み、哲学や文学、歴史に親しんでいました。

明治政府の指導者たちも、西洋の書籍を翻訳して学び、日本の近代化を推し進めました。

つまり、「読書=成功するための必須条件」とされていたのです。

2-2. 戦後の経済成長と「即戦力重視」の変化

しかし、戦後の高度経済成長期を経て、社会の価値観が変わりました。

企業は「即戦力」を求めるようになり、実務的なスキルや効率性が重視されるようになります。

この結果、教養としての読書よりも、「仕事に直結するスキル本」「自己啓発本」が主流になりました。

さらに、インターネットの発展により、情報は「検索すればすぐに手に入るもの」と考えられるようになりました。

そのため、「じっくりと本を読んで思考を深める」という行為が、現代では軽視されるようになってしまったのです。

2-3. なぜ今、「教養としての読書」が必要なのか?

著者は、「だからこそ今、教養としての読書が必要だ」と提言しています。

AIが発達し、機械が単純作業をこなす時代になった今こそ、人間ならではの「思考力」や「創造力」が求められています。

「役に立つかどうか」だけで本を選ぶのではなく、「面白そうだから読んでみる」「知識を深めるために読んでみる」といった、余裕のある読書を取り戻すことが大切なのです。

仕事と読書は両立できるのか?

3-1. 「全身全霊で働く」文化の問題点

著者は、現代の労働環境が「全身全霊で働くこと」を前提としている点を問題視します。

つまり、「仕事が生活のすべてになる」「仕事のために私生活を犠牲にする」ことが美徳とされる風潮が根付いているのです。

 

この考え方では、読書だけでなく、趣味や家族との時間などの「文化的な時間」が削られてしまいます。

本書では、仕事と私生活のバランスを取るために、「半身で働く社会」を目指すべきだと提案しています。

 

3-2. スマホ時代の「注意力の奪い合い」

現代では、スマホが常に私たちの注意を奪い続けています。

仕事が終わっても、ついSNSやニュースをチェックし、短い文章を読み漁るうちに、気づけば時間が過ぎている——そんな経験はありませんか?

 

本書では、「スマホは脳のリソースを奪い、深い思考を阻害する」と指摘しています。

本を読むことは「思考を深める行為」ですが、スマホによってその機会がどんどん奪われているのです。

忙しい中でも読書時間を確保するためのヒント

4-1. 「短時間でもOK」と考える

読書というと「最低でも1時間は確保しなければ」と思いがちですが、著者は「1日10分でもOK」と提案しています。

短時間でも本を開く習慣をつけることが重要なのです。

例えば、通勤時間に1章だけ読む、昼休みに5分だけ本を開く、といった形で、少しずつ読書時間を取り戻すことができます。

4-2. 「完璧な読書」を求めない

「最初から最後まできっちり読まなければ」と思うと、かえって読書が億劫になります。

著者は、「本は全部読まなくてもいい」「途中でやめてもいい」とアドバイスしています。

気になる部分だけを読む、複数の本を並行して読む、といった柔軟な読み方を取り入れることで、読書がより気軽なものになります。

4-3. スマホの「読書専用モード」を作る

スマホのアプリに「Kindle」や「青空文庫」を入れておき、隙間時間にSNSではなく本を開く習慣をつけるのもおすすめです。

著者も、スマホの使い方を見直すことで、読書時間を増やせると提案しています。

5. まとめ:読書を取り戻すことは「自分の時間」を取り戻すこと

本書を読んで、「読書時間の減少は、単なる個人の問題ではなく、社会全体の構造の問題なのだ」と気づかされました。

 

仕事に追われる毎日の中で、「本を読む余裕がない」と感じるのは当然のこと。

 

だからこそ、「どうすれば読書時間を確保できるのか?」を考え、少しずつ実践していくことが大切だと感じました。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、仕事と読書の関係を見直し、人生の豊かさを取り戻すためのヒントが詰まった一冊。

忙しい現代人にこそ読んでほしい本です。

「最近、本を読めていないな……」と思ったら、ぜひ手に取ってみてください!

 

 

 

 

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